2006年06月19日

「木曜日に生まれた子ども」ソーニャ・ハートネット △

木曜日に生まれた子ども
ソーニャ・ハートネット著 / 金原 瑞人訳
河出書房新社 (2004.2)
通常2-3日以内に発送します。

ヤングアダルト小説(ヤングアダルトって言う分類には
いつも疑問を感じるけど)。
タイトルが気になるなぁと思ったらマザーグースからだった。
『Monday's child is fair of face,
 Tuesday's child is full of grace,
 Wednesday's child is full of woe,
 Thursday's child has far to go,
 Friday's child is loving and giving,
 Saturday's child works hard for his living,
 And the child that is born on the Sabbath day
 Is bonny and blithe, and good and gay.』
木曜日生まれの子どもは遠くへ行ってしまう、と。
ちょっとネタバレかな。
でも、タイトルを見た時点で分かる人もいるだろうしなぁ。

物語の中心は、オーストラリアに暮らすフルート一家。
ハーパーの弟ティンはある時から家の下に穴を堀りはじめ、
いつの日か そのトンネルの中で暮らし、時に家族を見守るものになった。

あらすじ紹介が難しい。
ただ単にあらすじだけ読むと、つまらない本と受け取られそうだ。
この本でハーパーは主人公というより飽くまで語り手だ。
もちろん、ティンの奇行は際立っているわけだけれど、
かといって、主人公の変わった弟の話、ではないのだ。
だから、これはフルート家の話なんだと思う。

ハーパーの両親、特に父親コートのおかれてきた環境と
彼の振る舞いは、なんだか現実感にあふれていた。
結果としては、ティンはコートの執着によって、
両親を通してまだ一家とつながっていて
なんだかんだ言ってこの家族は、家族なんだと思った。

装丁は綺麗。持ち歩きやすい。
この本だともっと不気味っぽくても合っちゃいそうだけど。

読みやすさ:★★★(★)
一応、ヤングアダルトだし子ども向け、と言えるのかもしれないけど、
読み進めにくい本だと思う。
なんていうか、一読目は気持ちを大らかに持った方がさくさく読める。
posted by ks at 16:06| Comment(0) | TrackBack(0) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月18日

「奇術師」クリストファー・プリースト ○

奇術師
奇術師
posted with 簡単リンクくん at 2006. 6.18
クリストファー・プリースト著 / 古沢 嘉通訳
早川書房 (2004.4)
通常24時間以内に発送します。

記者アンドルー・ウェストリーの元に奇妙な本が届いた。
乗り気でない仕事なのに、取材先に向かうと
‘片割れ’からの奇妙な興奮が伝わってきた。
彼を呼び寄せた貴族の女性は、彼等の先祖の確執と
未だ会った事のない片割れについて語り、資料を持ち出してきた。

スリリングで凝った設定と、舞台の華やかさとともに語られる
人間のしがらみの対比が、印象に残った。
どちらの言い分にも共通項と言い訳があり、
人が憎み合うってこういう事なんだよなぁと思った。

人間関係と謎が絡まっていて、何度かあっちに戻り、また読み進め、
をやった。久々に凝ったミステリーでも読んだような読み応えがあった。
それでいて、途中で嫌になったりしなかったから、
結構好みの本だったんだと思う。

ボーデンとエンジャの手記で章が構成されているためか、
それぞれの人間がリアルだった。
内容では、手品というトピックが既に現実離れしている気がして
SFだなぁという感じはしなかった。(SF嫌いじゃないけど
比較的いい意味で)

読みやすさ:★★★
ページを戻ったりするのが嫌なときには向かない。

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2005年12月04日

「ビリー・ジョーの大地」カレン・ヘス ○

YA文学の中にも好きな本は多い。
書き手の、伝えようとする真剣さや、何処かにいる子どもだった人の生活があるからだ。
13才だったり14才だったりした自分は、今から思うと情けないくらいちっぽけで
子どもだったと思いがちだが、あの時も今と同じように考えていた事が
沢山あるんだなぁと思い出させる力を、YA文学のいくつかは持っている。
これもそんな一冊。

ビリー・ジョーの大地
カレン・ヘス作 / 伊藤 比呂美訳
理論社 (2001.3)
通常2-3日以内に発送します。

オクラホマ州の農家で、生まれた子ども。男の子が欲しかった父親は彼女を
ビリー・ジョーと名付けた。雨がめったに降らず、小麦は取れない土埃の土地で
大恐慌時代のアメリカに生きてきた。砂と平原と土埃の中で、ピアノを好いていた
彼女の生活はある事故で豹変した。砂嵐で見えなくなった希望が戻ろうとするまでの
2年間の話。

ビリー・ジョーが誰かに話している感じの小説。
詩のような部分も多々あって感受性の強いビリー・ジョーという女の子が生々しい。
話自体は、途中の事故というのが悲惨なので、決して明るいものではないけれど
私はアメリカ史に明るくないので、こういうアメリカの生活もあったんだろう、と
いう点でも興味深かった。

タイトルで手にとったのだが、主人公が女の子だとは思わなかった。
でも、彼女の芯の強さみたいなものを伝えるのにタイトルも一役買っていると思う。

読みやすさ:★★★★
時代も暮らしも違えど、彼女の感じ方に共感できる人も多いのではないか。
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2005年11月06日

「用心棒日月抄」藤沢周平 △

用心棒日月抄
用心棒日月抄
posted with 簡単リンクくん at 2005.11. 6
藤沢 周平著
新潮社 (2002.2)
通常2-3日以内に発送します。

青江又八郎は訳あって許婚の由亀の父平沼を斬って脱藩、
江戸で雇われ用心棒をしながら生活している。国元からくる刺客、
仕事の縁で会う、見事なまでの団結力を持つ赤穂浪士達。又八郎の毎日は波瀾に満ちている。

殺陣がお気に入りだったドラマ「腕におぼえあり」の原作だということで読んだのだが、
「よろず屋平四郎活人剣」と同じくらい面白かった。こちらの方が又八郎がわけありで
江戸暮らしをしているのと、背後に語られるのが「忠臣蔵」の話だったためか
若干影があった。町人達の生活も時代背景によって微妙な差異があるのが、
描かれていて面白い。将軍の令が適応される生活はこんな風だったのか、と
思うことしきりである。狸のような口きき屋吉蔵、子沢山でふぅふぅ言いながら
武士らしくないがめつさを持つ細谷などの登場人物も一癖あるが憎めない人柄で、
この本の面白さを形作っている。怪我をした後の、細谷夫婦の反応が生活感に溢れてて
少し笑えた。

読みやすさ:★★★★★
読後感はさっぱりしているが、内容は結構奥深かった。軽く浸る読書にはオススメ。
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2005年11月04日

「FINE DAYS」本多孝好 △

Fine days
本多 孝好著
祥伝社 (2003.3)
通常2-3日以内に発送します。

反省文書きで偶然に出会った僕と彼女。転校生の彼女には不吉な噂がまとわりついていた。
反省文の元凶の教師の死は彼女とどう関係しているのだろうか。
(表題作「FINE DAYS」他3編)

それぞれが独立した短編集。ベースはどれも恋愛小説なんだろうと思うが
表題作は少しサスペンス調だった。好きな話は最後の、「シェード」。
表題作も面白かったが、安井嬢の独白の辺りは作者が女性じゃないことを
割りと強く感じさせて違和感があった。多分、少し台詞が淡白だったのだと思う。
シェードは老婆の語る話とその話し方が、奇抜でも愉快でもないけど素敵だった。
この作者は珍しく好きな恋愛小説家だ。ラストを切るのが多いようだが、
その終わり方が絶妙なのだ。
これが推理小説や歴史小説なら許せないものがあっただろうが、恋愛小説としては
それなりに情緒があると思う。ラストがいいと言えば「MOMENT」の「瑠璃」もよかった。

読みやすさ:★★★★
一つ一つが短く、重くないので疲れることなく読めると思う。
posted by ks at 13:19| Comment(0) | TrackBack(2) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月24日

「よろずや平四郎活人剣」藤沢周平 ○

よろずや平四郎活人剣 上
藤沢 周平著
文芸春秋 (2003.12)
通常2-3日以内に発送します。
よろずや平四郎活人剣 下
藤沢 周平著
文芸春秋 (2003.12)
通常2-3日以内に発送します。

神名平四郎は剣術仲間の明石と北見と道場を開くことになり、窮屈で肩身の狭い家を
飛び出したが、明石が3人で持ち寄った金を持ち逃げしてしまった。
家に戻りたくない平四郎が生活のため、長屋で始めた商売は、揉め事仲裁、
探し物などの一風変わった「よろずや」だった。

平四郎への依頼の話の連作短編集である。兄堅物からの仕事が時々、絡んでくる。
この兄の仕事からは当時の政治背景を、平四郎の生活からは市井の人々の
暮らしぶりが伺えて、楽しい。どの話もシンプルで面白いのだ。
それに、戦う時の描写も変な音の表現や空白の駆使がなくていい。
だらだらと何巻も続かない潔さも秘かにハッピーエンドなところまで、お気に入り。
藤沢周平作品はこれや「用心棒日月抄」シリーズがとても楽しく読めると思う。

読みやすさ:★★★★(★)
このレベルの歴史物としては破格の読みやすさだと思う。
蝉しぐれでしんみりした後に如何だろうか。
posted by ks at 00:59| Comment(0) | TrackBack(1) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月24日

「塵よりよみがえり」レイ・ブラッドベリ ○

塵よりよみがえり
Bradbury Ray / 中村 融
河出書房新社 (2002.10)
通常2??3日以内に発送します。


イリノイ州の片田舎に建つ一軒の古い屋敷、そこは<一族>の者達の集うところ。
ティモシーはシェイクスピアとポオの本と共に見つけられ、彼らと暮らしている。
世界中から一族がやってくる大いなる夜を前に、
ティモシーが「ひいが千回つくおばあちゃん」に話してもらいに
屋根裏へ上がるところから物語は始まる。

わりと面白かった。人ではない一族の不気味さも僅かに描きつつ、
ティモシーを通じて彼らへの親愛の情を感じるのだ。
ティモシーが、大人の願望の産物ではない、ひとりの子供としてリアルだと思う。
よく考えるまでもなく彼がおかれているのは特殊な環境なのに、
その中で育ってきたから、違和感なくまた大きな偏見なく<一族>を見ているのも
気を楽にして読めた理由だと思う。
大好きな彼らが永遠に生きるものたちだから、そうなりたい。
そんな少年ティモシーの気持ちが分かるような本である。
セシーも可愛かったけど「ひいが千回つくおばあちゃん」が魅力的だった。

短編連作形式の本で、それが話全体に更なる独特の味を付けている。
あとがきによれば、レイ・ブラッドベリは主に短編小説を書く作家らしい。
80歳を越えてなお、このような世界に遊べるというのが素敵だと思う。

読みやすさ:★★(★)
連作の形式もそうだが、文章自体にくせがある気がして慣れるまで少し気になった。
多分原書の時点でかなりくせのある本だったろうと思う。
ただけっして難解な文章ではないので雰囲気に慣れてしまえば、
その文章さえ楽しめる本だと思う。
posted by ks at 16:41| Comment(5) | TrackBack(0) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月03日

「こんなものを買った」原田宗典 ○

こんなものを買った
原田 宗典 / 原田 宗典文 / 原田 宗典〔著〕
新潮社 (1996.6)
この本は現在お取り扱いできません。



作者が買ったものについて、あれこれ語っているコラム集です。
毎日新聞で連載されていたようです。
これの続編を友達に貰いまして、笑いのツボにヒットだったので
前編を買ってしまいました。

解説にも書かれていましたが「なるほど!」と思うことがいっぱいです。
日常の買い物での買い手の葛藤も、買ってからの小さな喜びも不満も
確かにそんなことあるあるっ!と頷いてしまうことしかりです。
どれも笑えるからこの本に関してはお気に入りは選べません。
軽く笑いが欲しい時には、とても良い本だと思います。

感想に中味がないのですが、きっと読めば面白い!笑える!という
私の感想がわかってもらえるでしょう。

読みやすさ:★★★★★
気楽に読めます。
posted by ks at 19:50 | TrackBack(0) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「動物の言い分 人間の言い分」日高敏隆 ○

動物の言い分人間の言い分
日高 敏隆
角川書店 (2001.5)
通常2〜3日以内に発送します。



動物達の生活、様子には意外なところに思いもよらない論理がある……
と、そんなことが説明されている本です。

上の説明は大変いい加減ですが、これは面白い本でした。
タイトルから連想したのは環境破壊とかそういうことをそれぞれの観点から
説明しているのかな、という感じだったのですが違いました。
コラムのように一つ一つ独立した話になっています。
導入部で大抵は身近な話題に触れられているので読みやすいし、
何より面白いのです。
こういう、動物について説明のようなことを書いている本は、
私にとってはなかなか夢中になって読めないことが多いので
(途中で飽きたり、やたらと少しずつしか読めなかったり)
この本は新鮮な驚きでした。
テーマが動物行動学、とされていますが堅さがないので
楽しんで読めました。
実は何の気なしに(確か値段合わせ)で買った本だったのですが、
良い買い物だったと今も思います。(初めて読んだのは1年前)

読みやすさ:★★★★
読み出してしまえば面白いし感心しながら一気に読めるのですが、
読もうという気になるまで、で★4つです。
posted by ks at 19:25 | TrackBack(0) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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