2008年04月24日

「村田エフェンディ滞土録」梨木香歩



土耳古文化研究のために招聘された学者・村田の見たトルコ。下宿のメンバーも、国も人種であふれている国で、彼が感じたトルコという世界の話。

梨木香歩の描く、寝しなに読まれる絵本のような、決してマイナス要素にならない女性らしい文章が好きだ。
歴史を学ぶ多くの人々を今なお魅了し続けるトルコ、を描きながら、多文化の交流の中で現れる姿勢、のようなものを節節で感じさせてくれる。

後半のディクソン夫人の手紙を、ムラタが一度読み止めるシーンは、やはり同じように文字を追う中でショックを受ける読者と共鳴する。この手紙の後半に現れる、ディクソン夫人の「国」というものに感じる話をよんで、背景は全く違うのに、「魔人の海」後半で語られていた「国」を思い出した。実体はないものなのに、多くの人生を左右する。ディクソン夫人は、祖国を憎むもの、ではなく懐かしい場所と捕えた上で、そのままに受け入れようとした、その姿勢に、女性の強さを感じた。

村田が、すべての主義主張、民族を超えて得たことが、「私は人間だ…」と作中に引用されている言葉で、この本を通したイメージになっていると思った。
posted by ks at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | な行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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