時は1945年、アメリカ軍パイロットのオースティン・スミス大尉は
ルソン島で逃げ回る事しかできないはずの日本軍に撃墜され、無事降下できたものの
日本軍の臨時中隊の捕虜になった。鳴神中尉率いる一小隊と共に行動することになった
オースティン。彼の見たルソン島における日本兵たちの終戦を写す作品。
恥ずかしながら、日本の第二次世界大戦を描いたものをそれほど
多く読んでいるわけではないのですが、これは読み応えもあるし考えさせられました。
これの他で、ルソン・レイテ島戦線の日本兵を描いた作品で思い出すのは
野火なのですが、大岡昇平氏の作品は実体験に基づく主観性が特徴であるのに対し
こちらはアメリカ人であるオースティン・スミスを主要人物に織り込んだ事によって
戦争を肌で知らない世代の私たちから見る日本、になっていたように思います。
多面的に戦争を知る、という目的で、(こういう言い方は好きではありません
が)読む価値は大きい本だと思いました。
読みやすさ:★★★
厚い本ではないし、読んでいて辛い箇所はあっても読みにくいとは思いません。
日頃から本を読む方には★★★★かもしれません。